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可能性の鉱石 モシカサイト

酒飲倶楽部

ひとりで酒を飲むのが好き。

 

新幹線に乗る時は

絶対にスーパードライを買うし

 

テレビをつけて、

タバコをくゆらしながら

ラム酒を飲むのも粋って感じがするし

 

粋とかいってられないくらい

酒に飲まれて

泥のように寝る毎日だし

 

なにより、ひとりで居酒屋に行くのが好き。

 

 

ひとりで赤提灯が吊るしてある

やっすい居酒屋に行って

しらないおっちゃんと話すのが好き。


しらないおっちゃんは

お互い好き勝手話していいし


なに言ってるか分からないけど

なんかハッピーな気がするし。

 

 

ここ最近、「外で飲むか!」って日は

蔓延防止条例で21時に店が閉まるので

家を早く出る。


って言っても、

だいたい店前の灯りを消すだけで

中はずっとやってて

18時から日にちを跨ぐまで、しらないおっさんと飲むみたいな生活を送ってた。


そもそも営業してないフリをして

常連だけ入れてるみたいな店も多い。


飲んでいた店の3階に

好きな音楽を流せるバーがあるってことは知っていたものの

営業してないフリをしているタイプだったので行ったことがなかった。

 

隣で飲んでいた40手前くらいのお姉さんに

「上行ってみたいんすよね」ってちょっと勇気を出して言ってみたら

連れて行ってくれるってことになった。

 

中に入ると4席がけのカウンターがあって

DJブースみたいなところに

マスターであろう麻原彰晃みたいなおっさんがいた。

 

「CD選んでいいですか?」と聴くと

「今はネットだからほとんどないんだよね」と後ろの棚を指さした。

 

本当にほとんどなくて、

聴きたいものもなかったので

店内BGM集と書いてある平成初期っぽいポップなジャケットのCDをおじさんに渡した。

 

曲が流れるやいなや

店の雰囲気はムーディーなバーから

スーパー フレッセイへと変貌した。

 

「なんでもってなんにもないじゃん」と落胆していたが、

「なんでも流せるってマジじゃん」と嬉しかった。

 


そのまま、「愉快愉快」と

2、3時間くらいをすごした。

店内BGM集2と3も流した。



そんななか、何の前触れもなく

催眠術が解けたように酔いが覚めた。


スーパーフレッセイの中で

麻原彰晃がにやにやしていて

耳元でしらないおばちゃんが大声でなにか話し掛けていて

そのさらに奥にいる客はカウンターに突っ伏して寝ていた。


子供のときにトラウマを植え付けられた

ドラえもん のび太の宇宙漂流記を思い出した。


「やっと地球に帰ってきた!」と

うきうきで家族とご飯を食べていたら

全部幻覚で両親は木の化け物だった

 

っていうシーン。

 

のび太とは違い、

この地獄のグルーヴを作り上げたひとりであることで

一方的に被害者ぶることもできず


なんだかとても悲しい気分になって

逃げ去るように家に帰った。

 

 

次の日から酒をやめた。


今年はシラフで楽しめることを探すことにする。