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ラヴズオンリーユー

今朝、ラヴズオンリーユーが世界最強の牝馬であることが証明されました。

ブリーダーズカップフィリー&メアターフを制しました。

 

日本初の快挙です。

 

今年の春にどこかで書いたものがあったので、ここに転記します。

______________

 

ラヴズオンリーユーが好きだ。


どのくらい好きかって言ったら

「ラヴズ」って省略して呼ぶ輩に

「ラヴズオンリーユーね」って訂正するくらい好きだ。


勝手に縮めんな。

 

2年前にリトルカブに彼女と二人乗りして行ったコメダ珈琲店で、

時間潰しに見ていたスポーツ新聞の競馬欄を広げて彼女に見せて

「明日どの馬が勝つと思う?」って訊いたら、

「ラヴズオンリーユー。名前がかわいいから」って言った。


だからラヴズオンリーユーが好きだ。

 

翌日、ラヴズオンリーユーは本当にオークスを制した。

1頭だけ他の馬と違うスピードで直線を駆け抜けて圧勝した。

他の馬の2倍くらい速かった。

 

それからずっと好きだ。

 

「世の中にこんなに強い馬がいるんだ」ってファン2日目にして虜になった。

 

「13番、ラヴズオンリーユー!!ミルコデムーロとラヴズオンリーユー!!無敗のオークス馬!誕生!!!」

っていう実況が嬉しくて、

何十回もレースを繰り返して観た。

 

それがラヴズオンリーユーのピークだった。

秋華賞は蹄の怪我で回避、

ドバイに行くもコロナで中止。


運が悪かっただけ、また来年。

って、思ってたら

ヴィクトリアマイルで7着

メンバーの薄い鳴尾記念で2着

アイルランド府中牝馬Sで5着。


G1どころかG2も勝てずにいた。

 

オークスの時に下した

クロノジェネシスやカレンブーケドールが活躍する中、

気づいたら2020年の年末、ラヴズオンリーユーは4歳も終わろうとしていた。

 

ラヴズオンリーユーの生まれたノーザンファームの規定で、

6歳の春までに牧場に返すと決まっているので競走馬人生もあと1年ちょっとしかない。

 

そんな中、

ミルコデムーロも「こんな馬じゃなかった」と言った。

厩舎も「オークスの時と比べて今は◯%」と表現するようになった。

 

年末の有馬記念単勝オッズは15倍もついた。

「これはむしろラッキー」と空元気で単勝5000円を買った。

 

どこか心の奥底で勝てないだろうなと思っていた。

この年、コロナで競馬ばかりして30万円くらい勝っていたので、「有馬、どの馬が勝つ?」って何人かに聞かれて「クロノジェネシス」って答えていた。

 

案の定、ラヴズオンリーユーはいいところもなく10着だった。

 

負けたことや5000円を失ったことより

4コーナーで他の馬を噛みにいったところや、

「当たった!ありがとう!」っていうLINEや、

「クロノジェネシスのファンでよかった」っていうこないだまでカレンブーケドールのファンって言ってた人のインスタのストーリーが

虚しすぎて2日くらい寝込んだ。

 

年末で実家に帰省していたので、

お母さんが俺(26歳独身)に優駿特集号を買ってくれた。

重賞プレイバックに無勝のラヴズオンリーユーは載っていないので余計に悲しくなった。

 

俺もクロノジェネシスやラッキーライラックのファンだったらよかったなって思った。

クロノジェネシスが制した秋華賞もラッキーライラックが制したエリザベス女王杯京都競馬場で見たのに、なんであのときファンにならなかったんだろうって思った。

 

素質は間違いなく1番なのに

少しの運や少しの選択の違いだけで

ラヴズオンリーユーが勝てないこと、

「終わった馬」と言われることが悲しくて仕方なかった。

 

今年に入って叩き(練習みたいなレース)初戦、鞍上がミルコデムーロから川田将雅に乗り替わることが決まった。

「ラヴズオンリーユーとミルコデムーロ!」ってもう一度聞きたかったら残念だった。


レース3週間前追い切り(練習みたいなやつ)、

川田が「ハミが効いてないですね」というコメントを出した。


ハミっていうのは

馬のハンドルみたいなもので、

ラヴズオンリーユーは騎手無しに走っているような状態だった。


少し好転の兆しが見えた。

 

そこから修正して、叩きをこなして、先月ドバイシーマクラシック

 

賞金10億円のレースを制したミシュリフ、今となっては日本最強レベルのクロノジェネシスとのマッチアップ。ラヴズオンリーユーは当然、出る幕のないレースという評価だった。

 

それが、道中を完璧にこなし

クロノジェネシスと体をぶつけて争い、その2頭の後ろの3着。

 

ビデオ通話で友達と一緒に見ていたから

「次は絶対勝ちそうだね!」って言った。

 

でも正直これでいいかなって思った。

苦手な輸送をこなして、世界レベルの馬と渡り合ってもう十分頑張った。

ずっと信じてたラヴズオンリーユーが世界に通用するっていうことが証明されて嬉しかった。

 

今日、そのままドバイから香港QE2Cに出走した。

3冠馬デアリングタクト、香港の馬場にめっぽう強いグローリーヴェイズが下馬評有利だった。

 

レースが始まり、7頭立て5番枠という不利な外枠からスタートした。

地元の逃げ馬タイムワープが単騎先頭。

ラヴズオンリーユーは中団4頭目あたりに控えた。

レースはスローペースのまま4コーナーを回り、最後の直線。


デアリングタクト、グローリーヴェイズ、全ての馬が追い出す中、

ラヴズオンリーユーが一気に駆け出した。

 

完全に2年前のオークスの再現だった。

 

他の馬とは次元が違うスピードで

ラヴズオンリーユーが駆け抜けた。

 

やっぱりラヴズオンリーユーは最強だった。

 

レースに勝った後で、

ラヴズオンリーユーの蹄鉄が外れていたことを知った。

 

蹄に問題を抱えているにも関わらずラヴズオンリーユーは

日本に帰ることもなくドバイで蹄鉄を打って、

そのままレースに出走していた。

 

それを知った時、込み上げてくるものがたくさんあって意味もわからず嗚咽を上げて泣いた。


轍にも怯まず、挫折から這い上がってくる

ラヴズオンリーユーが大好きだ。


引退まであと何戦走れるかわからない。


ラヴズオンリーユーが最強だったということを世界に証明してほしい。