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100の質問

3.好きな匂いは?

 

A.全て

 

床下は所謂匂いフェチだ。

 

と書いてみたところで、すぐに表現の間違いに気づいた。

 

 

フェティシズム(英語: fetishism)とは、人類学・宗教学では呪物崇拝、ソーシャル、経済学では物神崇拝と訳される。また、心理学では性的倒錯の一つのあり方で、物品や生き物、人体の一部などに性的に引き寄せられ、性的魅惑を感じるものを言う。極端な場合は、性的倒錯や変態性欲の範疇に入る。
Wikipediaより引用)

 

 

つまり、大衆が普段用いているフェチという言葉は、この定義から見ると「性癖」ということだ。ある特定の匂いを嗅ぐことで匂いを発する対象に性的な感情を起こす。


確かに床下も、興奮する異性の匂いなどは存在する。好きになる条件としてそういった感情を起こさせる匂いかどうかを加味していないわけでは無いし、思い起こせば今までお付き合いした異性はみんなその条件を満たしていた。

その条件を満たしている異性の友人の顔をまじまじと見た後「匂いは良いのに、もったい無いな」と言って引っ叩かれたこともあった(人生で一番痛い平手打ちだった)。

 

 

が、

床下の「匂い」に対する執着心はそういったものだけでは留まらない。

 

 

 

と言うのも、床下は五感の中で嗅覚が著しく鋭い。

自室に漂ってくる母が作る夕飯の匂いで料理が何かということは外した試しがない。

他人の使っているシャンプーや香水が変わればいの一番に気付く。

電車の中で友人の匂いがして辿ってみると、友人の母に出くわしたこともある。

浮気している友人をいつもと匂いが違うことから見抜いたこともあったし、

酒蔵で利き酒大会をやった時は飲まずに純米・大吟醸純米大吟醸・熟成酒を嗅ぎ分けた。

 


幼い頃から、床下の行動や思考にはいつも「匂い」が付きまとっていた。そんな風に生きてくると、まるで世の中に溢れている「匂い」たちが人生を共にしてきた親友であるかのように思えてきた。

 


異性の放つエロい匂いも、

母の安心する匂いも、

両親の実家の線香や畳の匂いも、

雨に濡れたアスファルトの匂いも、

剣道の防具から漂う藍染と汗が混ざった匂いも、

学校のおじさん先生から漂うコーヒーとタバコの匂いも、

コンビニのペペロンチーノの容器を洗わずにゴミ箱にぶちこんで数日経った後の匂いも、

靴ごと川に入って遊んで帰った日の足の匂いも、

レモンティーを飲んだ後の自分の口臭も、

 

 

どの匂いも、床下にとってはたまらなく愛おしい。何故なら、全ての匂いはどれも個性的で、そこでしか放てない最高の匂いだから。

 

「みんな違って、みんないい」とどっかの詩人が詠ったように、床下は全ての匂いに対してそのような思いを抱いている。全部の匂いを「それも、アリだな」と心底思っている。

 

 

 

 

 

 

こんなにもノスタルジックというかメンタル弱めな感じで熱く文章を綴っているのは、まさに今日、そのようにならざるを得ない出来事があったからだ。

 

 

同志社大学に通う中学時代の友人(以下同志社と称する)が今月で大学を卒業して今日帰省してくるというので、夕飯を一緒に食べるという約束をした。

同志社は小学校からの付き合いで、少々お調子者で不良グループと共に度を超えた行動をとることはあったが、基本的には良い奴だった。友人グループの中には嫌っている者も数人、いや結構たくさんいたが、本音でぶつかれば話の分かる奴だった。

 

 

 

集合場所に向かうと、他にも何人か中学の同級生がいた。ということでメンバー紹介をする。

 

①パチプロ
色々なポテンシャルは高いのだがメンタルがデフレスパイラルに陥りやすく、今はパチンコで生計を立てている(かなり稼いでいるらしい)。しかし、パチンコを辞めるに辞められない現状を打破しようともがいている。応援したい。


コブダイ
昔から異性にモテていて、そのことで友人グループからいつもいじられていた典型的な優しい奴。コブダイに顔が似ている(何故モテるのか)。


③前園
前園真聖に顔が激似である。典型的上にゴマすり下に威張るというような奴で、スクールカースト的に下だった床下のことを見下していた。同志社とは仲が良かったが床下は正直好きではなかった。高卒で就職している。


④クソ女
不良グループのトップと付き合っていたことで自分もスクールカーストのトップだと思っている女。当然床下のことは見下していた、というか眼中になかっただろう。名前から分かるようにめちゃくちゃ嫌いである。今はキャバ嬢か何かをやっている。


⑤取巻さん
クソ女の取り巻き。正直あまり印象がない。いつか話した時、勉強はできないけど賢いタイプの人だなと思った記憶がある。

 

 

さて、メンバー紹介で察してくれたかもしれないが、床下がメンタルを崩してしまっている理由は言うまでもなく前園とクソ女のせいである。

 

床下が集合場所に着くなり


「ヒャハッ、ウケる〜」とか言うクソ女。

何がウケるのか。ヒャハッて何だ、ピエロを装っているけど実はめちゃくちゃ強いタイプの敵キャラなのか。


「お前まだ親のスネかじって学生やってんの?笑」と嘲笑する前園。

色黒なせいで歯がめちゃくちゃ白く見える。


「研究って何?キモいね」とか言うクソ女。

何がキモいのか。いや…確かに研究はキモいかも…。


「今不景気だし、そんなに頑張っても俺の生涯年収越せないんじゃない?笑」とか言う前園。

前園真聖の生涯年収は確かに越せない。

 

 

 

 

 

…何とも言えない気分になった。怒りは不思議なくらい全くなくて、何というか、ただ悲しかった。

 


床下は別に、自分が大学院に行って、研究をして、そこそこ大手の企業の内定を得たことを褒め称えてもらいたかったわけではない。

 

ただ、自分では到底理解し得ない環境や世界を「それも一つの選択だな」と尊重して欲しかった。

 

床下だって前園やクソ女の住む世界なんて分からない。

でも、自分よりも圧倒的に早く就職した前園は社会人として自分よりも上手だと思うし、キャバ嬢にはキャバ嬢にしか分からない大変なことがいくらでもあると思う。

それを尊重したいと思っている。

 

自分が今まで歩んできた道を真っ向から馬鹿にされたことが悲しいのではない。馬鹿にするような奴には馬鹿にさせておけばいい。全ては結果が決めることだから。

 

そうではなくて、中学生の時のスクールカーストでしか物事を見ることができていないことが悲しかった。彼らにとって床下は、運動が苦手で容姿も大したことなくて勉強ぐらいでしか人に勝てるものがない中学生の時の床下のままだった。同じ土地で生まれ育ち、同じ分の時間を消費してきたのに、何故こうも違うのか。どうして常に上であり続けようとして他人を蹴落とすのか。

 

 


でもそんなことを言う気力も湧いてこなくて、居た堪れなくなり、「研究室に戻らないと」と嘘をついてその場を離れて家路に着いた。

 


同志社は「わりぃ!」という顔で床下を見送った(そもそもこいつらを何故呼んだと若干イラついている)


パチプロは「今度違うやつらと飲もう。俺を救い出してくれ」とラインしてくれた(頑張れ)


コブダイは終始バツの悪い顔でうつむいていた(可愛いな、こりゃモテるわ)


取巻さんはそっぽを向いてずっとタバコを吸っていた(カッケェ)

 

 

 

帰る途中、Base Ball Bearの「Ghost Town」という歌がずっと脳に鳴り響いていた。

 

 

学校一モテていようが
いい所の生まれだろうが
途方もないワルだろうが
みんなみんな幽霊になった

 

ああ夢を見ていたい
夢を追いかけたい
こんなもんじゃないと信じていたい でも
あの商店街を あの住宅街を
何度さまよえど どう探せど
ただただ現実しかないさ

 

この町をはやく逃げ出そうぜ
引きずり込まれる前に
この町を逃げ出そうぜ
Ghost Town Ghost Town
ここじゃないどこかへ逃げ出そうぜ
僕がまだ僕でいるうちに
ここじゃないどこかってどこだい?
Run Run Run...

 

 

 


そして現在、という感じです。

「みんな違って、みんないい」なんてみんなが思うことじゃないってことだな。

それでも床下は、全ての匂いに対する思いと同じように「それも、アリだな」と全てを尊重できる人間でありたいと思っている。

 

だから前園とクソ女、もしこのブログを見ていたら、

 

次は美味い飯を食おう、お前らの奢りで(途中退席なのに結構払ったことを根に持っている)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに席を立つ時クソ女からめちゃくちゃ良い匂いがしてめちゃくちゃ興奮した。以上!