38. 武勇伝は?
A.
お久しぶりです、お元気ですか、その後調子はいかがですか、こんにちは、ありがとう、さようなら、また会いましょう
前回は前置きに重点を置きすぎて本題がおざなりになってしまったので、今回は前置き無しでサクッと本題に入ろうと思います
今回の本題は武勇伝ということで
我々20代は武勇伝と聞くと頭の中で特定のリズムが勝手に再生されてしまうわけですが、残念ながら床下はオリエンタル某の中田某彦みたいに軽快なリズムに乗せてポンポン披露できるほどの武勇伝は持ち合わせておりません
床下の中で、武勇伝というのは「爆発をさらに大きな爆発で打ち消したエピソード」みたいなイメージなのですが、残念ながら床下はそういったものとは縁遠い人生を歩んでまいりました
どちらかといえば、爆発が起きたら「あー、ありゃ爆発してんなー」と遠くで眺めながら近くの誰かに消火器を送ったり、引火しないように外堀に水をまくような人生でした
学業に関して言えば、高校時代は学年ビリ付近から1年で学年20位くらいまで成績を伸ばして志望校に現役合格!!なんていう経験があったりしたんですが、それは単純に元々が怠けすぎだっただけなので武勇伝にするのも何か違う
というか学業は武勇伝ではなくて知勇伝ですね、しかも知勇伝はそこそこウザがられるからあまり話したくない
そう、やはり武勇伝というのは武勇を振るってこそなわけです
という感じで性懲りもなく武勇伝の定義について考えながら当ブログの管理人であるミルトンさんと話していたら、一つ武勇伝っぽいエピソードを見つけたのでそれについて話します
何度か言っているかもしれませんが、床下は小学1年から高校3年まで10年間(2年ほど諸事情により辞めてました)剣道をやっていました
剣道は防具を身にまとい刀を模した竹刀で相手と1対1で打ち合う武道ですが、試合には個人戦と団体戦がありまして、今回は団体戦についてのお話です
以下に団体戦の主なルールを記載します
・メンバーは五人(試合順に先鋒、次鋒、中堅、副将、大将)
・オーダーは途中変更できない(補欠との入れ替えは可)
・各試合は時間制限ありで、有効打突を2本先取で勝利(1本取った段階で時間が過ぎたら1本勝ち、双方1本取っているor1本も取っていない場合は引き分け)
・先に3勝したチームの勝ち(2勝2敗1分などの場合は取った本数で勝敗を決める、本数も同じ場合は監督が指名した選手同士による延長戦)
まあ大会にもよりますが大体はこんな感じです
結局は1対1の個人戦を5回やるだけなので5人全員強ければ勝ち進めるわけなんですが、中学高校の地区大会レベルではそういう学校は稀です
そのため各チームの監督が頭を抱えるのが、オーダーです
このオーダー、剣道経験者なら分かるのですが、各ポジションの役割や強さというのは暗黙の了解である程度決まっています、まあ野球の打順みたいなもんです
以下に各ポジションの特徴を述べます(私見もかなり含まれますが)
①先鋒
攻めに強く、速い。負けを恐れず突き進む特攻隊長。プレッシャーを感じにくいド天然かめちゃくちゃ気性の荒い奴がやってる場合が多い。湘北で言うなら桜木花道。
②次鋒
速いというよりは、すばしっこいという感じ。小柄な奴がやる場合が多い。大抵5人の中で一番気弱か一番ずる賢いか一番性格が悪い。湘北で言うなら宮城リョータ。
③中堅
守りに強く、相手の動きにいちいち動じない。負けないことが得意。大抵大柄かデブ。湘北で言うなら赤木剛憲。
④副将
細身で攻めも守りもそこそこなオールラウンダー。責任感が強く状況に応じてプレイスタイルを変えられる奴が望ましい。湘北で言うなら三井寿。
⑤大将
副将のグレードアップ版。大抵部長。湘北で言うなら流川楓。
そして各ポジションの強さは
大将≧先鋒>中堅>副将≧次鋒
といった感じです
これが正攻法のオーダーです
先鋒が勝ち、次鋒が惑わし、中堅が守り、副将が整え、大将がとどめを刺す
理想的な「5人で勝つ」ための戦略であり、公式戦では多くのチームがこのオーダーに従ってきます
さてかくいう床下はというと、ある程度予測できているかもしれませんが、次鋒でした
次鋒というポジションはある種かわいそうで、スタメンには入っているけど「お前は5人の中で1番弱い」と宣告されてるようなものです
床下は打突は早いけど背は小さく相手の攻めを利用して1本を取るタイプだったので正に次鋒型と言われればその通りなのですが...
しかし、全てのチームがこのような正攻法オーダーを取ってくるわけではありません
桶狭間にて数万の兵を率いる今川義元を数千の兵で破った織田信長のように、監督は思わぬ奇策オーダーに走る場合があります
その中でも代表的なのが「捨て大オーダー」です
捨て大とは捨て大将の略で、その名のとおり大将に勝ちを望まないオーダーです
大将にあえて強い奴を置かず、代わりに次鋒や副将などに強い奴を置いて大将戦前に勝負を決めるというオーダーです
そしてこのような奇策に走るのは、床下の中学時代のチームも例外ではありませんでした
ある公式戦を控えた練習の日、監督のオーダー発表がありました
監督「大将、床下!」
床下は心の中で「あぁ、これが噂に聞く捨て大ってやつか」と確信しました
床下のチームは県内でもそこそこ名が知れてましたが、長いことライバル校に後一歩のところで負けていたため、恐らくそれを打破するために監督が打って出た策だろうと床下は思いました
監督は捨て大と明言するような素振りを見せませんでしたが、床下には分かりました、というか部内の全員が分かっていました、床下は大将を張れるような器ではないと
確信と同時に、色々な感情がこみ上げました
勝つためにはしょうがないことだと割り切りたい気持ちや、自分は次の試合で数合わせでしかないことへの無力感や、捨て大を察して無理に励まそうとしてくる部員への苛立ちや、1番弱いとは言ってもそれなりにプライドを持ってやっていた次鋒への執着心
しかし、色々な感情を詰め込みすぎてパンクした床下の脳は、思わぬ感情を導きました
「...やりたい放題だな、逆に」
そう、開き直ったのです
もうそれは本当にハンターハンターのゴンさんのような感じで
「もう これで スタメンクビになってもいい だから やりたい放題」
家に帰って父に話した時もそんな答えが返ってきました
「へえ、何のプレッシャーもなく格上と戦えるとか最高じゃん、暴れろ」と
蓋を開けてみると、床下はその公式戦で全勝、ライバル校にも勝ち、チームは優勝していました
2勝2敗で床下に回ってきた試合も完全に開き直っていたので
「いやこれで負けても俺のせいじゃないし、監督のオーダーと勝てなかった奴らのせいだし」
という思考でめちゃくちゃ危険な賭けに出たり守りを全部放棄していたらそれが全部偶然上手くハマり気づくと2本勝ちしていました
監督とメンバーと保護者席は歓喜し、完全にお祝いムード
床下と父親だけが「手の平クルーが過ぎる」と冷め気味でした
しかし、床下がヒーローだったのは、後にも先にもこの日だけだったと思います
この日以降、結局床下は次鋒に戻され、それなりの勝率を上げつつも最後の公式戦では結局ライバル校に負けて引退しました
きっとあのまま床下が大将をやっていても、勝てたのはあの日だけだということを監督は知っていたんじゃないかと今になると思ったりする
変な開き直りと色んな偶然が重なり合った出来事だっただけで、それが日常となれば床下は少しずつプレッシャーを感じ始める
プレッシャーを感じれば負けを恐れる、守りに走る、賭けを止める、そうなっては実力では他チームの大将に勝つことはできない、と
まあそれでも床下にとっては数少ない貴重な武勇伝ですよ、一回りも大きくて強い大将クラスの奴らをバンバン倒したわけですから、最高でしたねあの日は
はい、以上です、すげー長くなってしまった...申し訳ない
思えば床下は今でこそインドアで陰気で運動とは縁遠いような感じに見られがちなんですが、高校までは剣道中心の生活を送っていたなあと書いていてしみじみ思いました、そして剣道から教わったこと、めっちゃ多いなって思いました。
また今度、違う機会にもう少し書きたいものですな
では最後に、床下が中学時代試合前によく聴いていた曲を挙げて終わります
聴こえてくるのはキミの声
それ以外はいらなくなってた
溢れる涙はそのままでいいんだ
もしも笑われても
行こう
昨日までのキミを
苦しめたもの全て
この世の果てまで
投げ捨てに行こう
街のルールに汚されない
今日も奴らロボットみたいだ
"無駄な日"なんてあり得ない
そうだろ はしゃいで息が切れても
行こう
今 空に高く
この声は突き抜けて
会えない夜も
キミにうたうよ
行こう
昨日までの二人を
苦しめたもの全て
この世の果てまで
投げ捨てに行こう
聴こえてくるのはキミの声
それ以外はいらなくなってた
my baby 行こう