MOSIKASITE

可能性の鉱石 モシカサイト

要するに間抜け

100の質問
16. 今の夢は?

 

A. 徳の高い人間になること

 

 

 

 

床下のこれまでの人生は「やりたいこと」より「できること」を優先してきた。

 

 

 

まだ一度も書いたことがないとは思うが、床下が現在農学部に所属している経緯はかなり複雑である。

 

 

 

 

中学生の頃は、宮大工になりたかった。

 

大工の立ち姿が好きというのもあるが、元々寺社仏閣に興味があったこともあって、それらを直す仕事というのはとても神聖なものに思えた。

 

床下の出身中学は地方の片田舎にあったため、友人は皆そこそこに不良で、勉強などテスト前に担任に怒られて仕方なくやるようなものだった。

 

両親が教師の床下としては、勉強を大事だという思いがあり、友人らと両親の思想の間で揺れ動き、その結果成績は見事に学年平均くらいだった。

 

だから、中卒で宮大工の元に弟子入りするという選択肢もあるにはあったが、ある程度の教養を身につけてからでも遅くはないと思い、適度に塾で勉強して適当な高校に行こうと思った。

 

 

 

 

 

 

塾に入って1ヶ月、偏差値が25上がった。

 

 

講師は驚きを隠せず、両親は「当たり前でしょ、ウチの子なんだから」と囃し立て、友人らには化け物扱いされた。

 

 

 

 

だが悪い気はしなかった。それまでの人生で何かで一番になった経験が無い床下としては、得難い優越感があった。

 


意志の弱い床下は

 

 

 


「まあ、進学校に行っても高卒就職はできるしな……」

 

 

 

 


などと思い、その優越感にもう少しだけ身を任せることにした。

 

 

 

 

 

 

見事に県内一位の進学校に合格し入学すると、高卒就職を考えている人間など1人もいなかった。

 

親の病院を継ぎたい、官僚に入ってこの国を良くしたい、起業したい、世界中を飛び回りたい、医学部志望の女の子と結婚してヒモになりたい、そのために大学に行きたい。

 

皆そんな奴らだった。

 


さてさて意志の弱い床下は

 

 

 

 


「まあ、大学に行っても宮大工にはなれるし、他の面白い道もあるかも……」

 

 

 

 


などと思い、大学進学を決意した。

 

 

大学について調べてみると、歴史学や考古学に興味を持った。

 

なるほど、こういう面から寺社仏閣に携わる道もあるか、と思い、一先ずは文系選択にするという旨を母に伝えた。

 

母は猛反対した。


「文系なんて今時働き口ないでしょ!しかも歴史学?!考古学?!昔のことを掘り起こしても金にならん!!!」


今の床下なら猛反論してるところだが、当時の床下にとって母は親兼担任のような絶対的存在で、反抗期など許されるものではなかった。

 

またもや意志の弱い床下は

 

 

 

 


「まあ、何かあるだろ理系にも……」

 

 

 

 


などと半ば適当になり始め、理系を選択することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

理系学部について調べてみると、建築関係の学部に興味を持った。

 

なるほどなるほど、きちんと建築を学べば宮大工により近づけるな、と思い、工学部を目指すために物理化学を選択した。

 

 


しかしここで予期せぬ事態が起こった。

 

最終決定の紙を見てみると、床下の欄が生物化学になっている。

 

 

おかしい、どういうことだ。

 

 

 

床下「先生、自分物理化学選択で書類出したんですが」

 

 

担任「は?いやいやいやもう遅いよ、何回も確認の紙出したじゃん。もう無理です。無理無理無理」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

確かに確認の紙を何回も貰ってはいたが、普通間違えないだろうと思い確認など一度もしなかった。なんたる仕打ち、神はいないのか。


しかしここでも意志の弱い床下は

 

 

 

 

 


「まあ、もういいか……」

 

 

 

 


などと完全に諦め、消去法で学部を選ぶことにした。

 

 

 

 

 

中学の頃のサボりぐせを引きずっていた床下の学業成績は、下から数えた方が圧倒的に早かった。


残り1年半、部活をやりながら勉強をして現役合格するのに、医学部医学科はきつい。

 

かと言って医学科以外は柄じゃない。

 

歯学部は歯医者がコンビニより多いって言うし。

 

じゃあ理学部か農学部

 

あ、農学部の方が定員多いしちょっと難易度低いじゃん。

 

じゃあ農学部で。

 

 

 

 

こんなもんである。

 

 

 

そんなこんなで流れに身を任せていたら大学院まで来てしまった。

 

 

 

 

 

つまり、床下は農学に対して何の興味もない。

 

実際、今やっている研究も「成果が出る」という喜び以外には何もない。

 

関心も抱いていない。

 

だからこれから就職する企業の仕事内容も、別に全く興味がない。

 

 

 

 

 

だが不思議と後悔はしていない。

 

 

 

 


進学校で出会った友人、大学で出会った友人、高校で学んだこと、農学部で学んだこと、それなりに全て大事だと思える。

 

 

 

これまでの人生がなければ、今こうしてこの文章を書くこともなければ、高校や大学の友人に出会うこともなかったし、食生活を気にしたりはしなかったし、ともすればメーンブログを書くことなど無かったかもしれない。

 

 

前回の記事で触れたバタフライエフェクトのように、これまでのよく分からない適当な人生があってこその現在、This is 床下であるのだから、そこには特に不満はない。

 

 

 

あの時ああしていればとか、ああなっていればという並行世界の未来の話をしても仕方がない。

 

 

 

Base Ball Bearの「HUMAN」という曲を聴けばそれが痛いほど分かる。

 

 

天啓や僥倖を待ち続ける人や
バイト先休憩室で無気力に煙草吸う人や
「共感」してるつもりで「同調」してるだけの人や
神経質こじらせてわけわかんなくなった人や
ぐしゃぐしゃのバースディケーキを前に佇む人や
「暇」というネガティヴの原因に気付けずにただ落ちゆく人や
購入してる人や
消費してる人や
美化してる人や
犠牲にしてる人や
信奉してる人や
贖罪してる人も
誰も彼も
満たされず

僕らただただただただ味わってる 僕らただただ味わってる
息をするように 人間味を
僕らだらだらだらだら味わって 僕らだらだら味わって
飽きてしまう 人間味に

 


この曲は人間を意味する「human」とローマ字読みの「不満」が掛かっている。

 

殆どの人間が不満を抱えて生きていて、でもそれでこその人間である。

 

 

 

 

 

床下が思うに、「やりたいこと」を優先できる人間というのは、選ばれし者だ。

 

それ以外の全てをかなぐり捨ててでも、それのみに心血を注げるような人間。

 

それだけの強い意志と才能を持った人間。

 

 

 

 


床下はそれとは程遠い。

 

家族は捨てられない。

 

友人は捨てれない。

 

お金は捨てられない。

 

地位は捨てられない。

 

捨てられないものが多すぎる。

 

 

今まで築いてきた交友関係や知識やキャリアを捨てることはできない。

 

 

そんなに意志の強い人間じゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


でも、だからこそ、せめて捨てられないものを大事にできるくらいの徳は持っていたいと思う。

 

 

「できること」を伸ばすことで、捨てられないものを守れる人間でありたい思う。

 

 

 

 

 

そのための今回のAnswer。

 

 

 

 

 

 

徳をツムツムである。

 

 

 

 

 

 


ちなみに皆さん、好き嫌いせずに食べるというのは徳積みの初歩ですよ。

 

 

 

 

 

 

 

ということで皆さん

 

 

 

 

 

 

 

 

 


徳を積みたきゃ虫を食え