床下です。
この前ブログ管理人(と言いつつ記事は個人ブログで上げている)のミルトンさんのツイキャスに参加した時、山田さんに「攻殻機動隊をイッキ見して公安9課の一員になれ」と指令を受けてGW中はずっと攻殻機動隊を観てました。
で、紹介していこうって話なんですが、いやめちゃくちゃしんどくないすか?
なんというか、全作品を通して「中二病に罹患した時に習得する語彙や世界観への理解が必要」なんですよね。だからちょっと心配です。でもまあ書いていきましょう。
概要
攻殻機動隊には大別して4つの作品が存在していて、どの作品もパラレルワールドです。ゴジラとか座頭市とか007とかと同じで、「大まかな世界観は同じだけど世界線は異なる」ってやつですね。
・第一の攻殻機動隊
『攻殻機動隊THE GHOST IN THE SHELL』(1990年代)
・第二の攻殻機動隊
『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(1995年)
『イノセンス』(2004年)
スカイクロラなどで知られる押井守監督のアニメ映画。唯一観たことある作品。
・第三の攻殻機動隊
『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX(S.A.C.)』(2002~2003年)
『攻殻機動隊S.A.C. 2nd GIG』(2004~2005年)
『攻殻機動隊S.A.C. Solid State Society(SSS)』(2006年)
『攻殻機動隊S.A.C_2045』(2020年)
神山健治監督のアニメ作品。
・第四の攻殻機動隊
『攻殻機動隊ARISE』
黄瀬和哉総監督のアニメ映画。ちなみに脚本はマルドゥックスクランブルや天地明察などで知られる冲方丁。
各作品の共通項
・世界観
1990年代ぐらいを分岐点として、現実世界をパラレルワールド化した近未来です。
1996年:主に欧米VSソ連の第三次核大戦勃発。核戦争のため、一瞬で決着。
2000~2024年:欧米諸国・ソ連VSアジア諸国の第四次非核大戦。核無し。長期間の戦争による多くの兵器開発・人体実験により現実世界よりも科学技術が発達。
2030年代:主に作品中の「現在」
長期間の戦争により、世界情勢も現実世界とは結構異なります。アジア諸国の発展がめざましく、欧米と割と対等な関係っぽいですね。
日本:択捉島奪取。東京、千葉、神奈川の沿岸部は核ミサイルと地殻変動により水没。ちなみに宮城、新潟、沖縄も水没。低賃金の労働力として近隣諸国から難民を受け入れており、難民居住区がスラム化。東京も水没を免れた地域はスラム化し、代わりに神戸や福岡が首都に。
朝鮮半島:南と北が仲直り。
中国:民主化。第三次核大戦時に日本の各所を水没させた国。台湾と仲直り。日本とも割と仲直り。
アメリカ:戦争の影響で国が分裂。作品によって違うが、大まかにはアメリカと米露連合国に分裂。
・用語
『電脳化』
第四次非核大戦時の人体実験により生まれた技術。脳に「マイクロマシン」と呼ばれるごっつ小さい機械を埋め込んで、脳とインターネットを直接接続する。要は脳とパソコン・スマホを合体させたようなものなので、電話もネットも身一つでできる。逆に言えば、ハッキングやコンピューターウイルスの感染によって、行動を操作されたり殺されたりという危険性がある。当初は軍人だけだったが、「電脳化拒絶症」という病名が存在するぐらい、この世界では電脳化することが一般的になった。
『義体化』
電脳化と同様に大戦によって発達したサイボーグ化技術。医療技術への応用により、脳と基幹神経系以外は全て義体化が可能。つまり脳や神経系以外の病気は義体化により完治可能。価格により性能が異なる。こちらも電脳化と同様に一般社会に浸透。
『ゴースト』
抽象的な概念だけど、個人的に攻殻機動隊では「心」や「魂」と同義の言葉として使われている気がしますね。英語タイトルがGHOST IN THE SHELLとなっているように、どの作品でも重要なキーワードになっています。
・ストーリー展開
一文で表すと「近未来化した現代における公安ドラマ」……ですかね?
補足として、wikiのあらすじを抜粋。
生身の人間、電脳化した人間、サイボーグ、アンドロイドが混在する社会の中で、テロや暗殺、汚職などの犯罪を事前に察知してその被害を最小限に抑える内務省直属の攻性公安警察組織「公安9課」(通称「攻殻機動隊」)の活動を描いた物語。
攻殻機動隊なんてごっついタイトルなんでゴリゴリのアクションを想像する方も多いかもしれませんが、アクションや火力は割と控えめです。実写ドラマで言うなら西荻弓絵さんの脚本作品(ケイゾク、SPECなど)とか金城一紀さんの脚本作品(CRISIS、BORDERなど)に近いかもしれないですね。
まあ各作品でテーマは微妙に違うのでそろそろ各作品の解説に移りましょう!
山田さんからは以下のように言われたので、その通りに鑑賞しました。観た順に書いていきますね。第一の攻殻機動隊は読んでないです。ちなみに第二~第四は全てNetflixで観られます。Netflix最高!!!!!!!!
昨日ARISEをオススメしましたがイッキミするのであればSAC→2ndGIG→SSSの黄金ルートをまず通った方がいいと思いますそれぞれ3周した後その他の劇場版やらARISEやらをさらに3周して晴れてあなたは公安9課メンバーですおめでとう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
— 🌌🏙🌌🌌🐘🌌🌌🏙🌌 (@airoi_) 2020年4月30日
第三の攻殻機動隊
『S.A.C.』
「笑い男事件」に関するメインストーリーと一話完結型ストーリーを含むテレビアニメ全26話。
『S.A.C. 2nd GIG』
「個別の11人事件」に関するメインストーリーと一話完結型ストーリーを含むテレビアニメ全26話。
『S.A.C. SSS』
「傀儡廻(くぐつまわし)」と呼ばれるハッカーの追跡を描く長編アニメ(90分くらい)。
このシリーズは唯一テレビアニメ作品を含んでいるので、ボリュームが圧倒的です。そのボリュームを活かして、国家や各組織の思惑、キャラの苦悩や葛藤が他作品に比べて細かく描かれています。攻殻機動隊の世界観を理解するという意味で、ファーストチョイスとしてかなりおススメです。つまり山田さんグッジョブです。
タイトルにも入っているStand Alone Complexというのはこのシリーズのメインテーマで「個人の脳内とインターネットが直接繋がったことによって、個人は独立して行動しているにも関わらず、結果的に社会全体の総意に沿ったかのような行動を取ってしまう現象」のことを指します。
また、現代社会の風刺がサブテーマになっているところも他作品には無い特徴です。『S.A.C.』ではいわゆる薬害、『2nd GIG』では難民問題、『SSS』では少子高齢化がそれぞれテーマになっています。
個人的にはストーリーもキャラも声優も一番好きなシリーズです。身も蓋もないんですけどこのシリーズだけ観るとかでいいと思いますもはや。
ちなみに『S.A.C._2045』はつい最近公開されたNetflixオリジナルの3Dアニメ作品で、このシリーズの最新作です。まだシーズン1しか公開されていないので全貌は分かっていません。
・キャラ紹介
公安9課のメンバーだけ紹介します。
攻殻機動隊作品共通の主人公。脳と神経以外を義体化した全身サイボーグで公安9課のリーダー的存在。サイボーグのため身体能力が高く、ハッキング能力もずば抜けている。元軍人で、その名残で他メンバーから「少佐」と呼ばれている。
基本的に冷静沈着だが、他作品に比べると穏やかな表情が多い(原作は明るいらしいが)。あと他作品に比べて露出が多い。一般人の服装は現実社会と大差ないのに素子だけ露出が多い衣装なので若干変態っぽい。
バトー(CV:大塚明夫)
攻殻機動隊作品共通の準主人公。ほぼ全身を義体化したガタイの良いサイボーグ。元軍人。戦闘も潜入捜査もハッキングもできるが、基本は戦闘に参加したがる。目に詰まっているラムネみたいなやつは高性能な義眼。賑やかし担当。筋トレが趣味だがサイボーグなので意味は無い。人情派。素子のことが好き。
トグサ(CV:山寺宏一)
攻殻機動隊作品共通の準主人公。元刑事。9課で唯一結婚していて子供もいる。電脳化はしているが、それ以外は生身。元刑事のキャリアを生かした聞き込みや事情聴取などの地道な捜査活動をすることが多く、一般人に一番近い感性を持っている。人情派。後半はバトーとの行動が多い。車の運転はもっと穏やかにしろ。
イシカワ(CV:仲野裕)
クールな髭。元軍人。素子との付き合いが一番長い。主にネットでの情報収集担当で戦闘への参加はほぼ無し。パチンコ屋を経営している。
サイトー(CV:大川透)
クールな隻眼坊主。元傭兵。狙撃担当。普段眼帯をしている左目は人工衛星とリンクしており、狙撃時のみ眼帯が開く。ポーカーめちゃつよおじさん。
ボーマ(CV:山口太郎)
クールなハゲデブ。元軍人。主に情報収集担当だが、爆弾に詳しいため現場検証などもする。
パズ(CV:小野塚貴志)
クールなヘビースモーカー。主に潜入捜査や聞き込み担当。同じ女は二度抱かない主義。
荒巻大輔(CV:阪脩)
公安9課課長。元軍人。主に9課メンバーが捜査活動を行いやすいよう、警察や政界との交渉役になる。交渉が他作品より多いため、このシリーズでは課長の影響力が大きい。他作品より9課メンバーとの信頼関係が強いイメージ。
9課が有する9体の多脚戦車。人工知能を有しており、データの共有をしているにも関わらず、9体がそれぞれに個性を獲得していく。かわいい。
第二の攻殻機動隊
攻殻機動隊の初映像化作品。「人形使い」と呼ばれるハッカーの追跡を描いたアニメ映画。第一の攻殻機動隊に近いストーリー展開。
『イノセンス』
バトーが主人公の続編。アンドロイドの暴走事件を描いたアニメ映画。
あ~~~~~~押井守っぽい~~~~~~~~~~って感じ。
1作目は「インターネットを思考が直接飛び交うようになった世界で、精神(作品内で言うところのゴースト)は肉体と分離されても存在しうるのか」というある種の思考実験がテーマであり、他作品に比べて圧倒的に哲学的。まあ、作られたの1995年ですもんね、そりゃあケータイもロクに普及してない社会じゃそうなりますわな。というか逆にその時代に攻殻機動隊を構想した士郎正宗さん凄すぎって感じですが……。
2作目が作られたのは2000年代ですが、こちらも「機械も人間と同様にゴーストを獲得しうるのか」という哲学的なテーマになっています。
・キャラ紹介
S.A.C.シリーズに比べてメンバー少なめです。声優が書いていないキャラは同じってことです。
全作品の中でも一番無表情でユーモアが無い。作風自体がかなり暗いのでしゃーないですが……。
バトー
全作品の中でも一番無口でユーモアが無くて紳士。こんなの俺の知ってるバトーさんじゃない……。素子のことが好き。
トグサ
出番少なめ。新参者のため他メンバーにバカにされがち。車はもっと穏やかに運転しろ。
イシカワ
出番少なめ。
荒巻大輔(CV:大木民夫)
殆ど怒ってるだけ。無能である。
第四の攻殻機動隊
『攻殻機動隊ARISE』
素子が荒巻大輔と出会い、公安9課を結成するまでの過程を描いたアニメ作品。
話むっず~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。外交、軍閥、人間関係が複雑に絡まっていたり、各組織の対立・共闘関係の入れ替わりが激しすぎたりで、一回では理解しきれなかったです。大まかな話の流れは理解しましたが、テーマも自分にはあんまり読み取れなかったですね。まあ、最後にイッキ見したから集中力が消失していたせいってのもあるかもしれませんが……。あとは主要メンバーの声優が刷新されたのもでかいです。主要メンバー3人の田中敦子・大塚明夫・山寺宏一というゴールデン声優陣が変わってしまったのはきつかったですね……。復活させたS.A.C._2045に感謝です。
・キャラ紹介
他作品に比べて気性が荒く、カリスマ性も殆ど感じない。強行突破多め。対応後手後手。電脳戦も負けがち。つまり全作品中一番弱い素子。これが……若さか……。
驚いたのは声優の坂本真綾さんですね。似せに行ってるか分かりませんが、田中敦子さんから変わったことによる違和感が全くありませんでした。
バトー(CV:松田健一郎)
性格はS.A.C.に近い。事あるごとに刑事あがりのトグサをバカにする。素子のことが好きかもしれない。大塚明夫さんには勝てない。
トグサ(CV:新垣樽助)
パーソナリティが全作品を通してほぼ一緒。山寺宏一さんには勝てない。
イシカワ(CV:檀臣幸、咲野俊介)
何で途中で声優変えたん?
サイトー(CV:中國卓郎)
見た目も性格もS.A.C.から大幅に変化。見た目は「ちびまる子ちゃん」の永沢君がでかくなったみたいになり、性格も気性が荒くギャンブル依存症になった。最悪である。
ボーマ(CV:中井和哉)
何でボーマだけ声優がランクアップしたんや……。それ以外は同じ。
パズ(CV:上田燿司)
表情が穏やかになり、ちょっとおしゃべりになった。最悪である。
荒巻大輔(CV:塾一久)
ほぼ何もしとらん。墓荒らし。
ロジコマ(CV:沢城みゆき)
タチコマのプロトタイプ。かわいい。
はあ終わった終わった。今回の紹介は難しかったですね……。事前に説明しておくべき事項が多すぎました……。めちゃくちゃwikiを読みながら書いてしまったし何かwikiの簡素版みたいな雰囲気になってしまったな。
画像もめんどくさくてつけてないんですが、百聞は一見に如かずということで、ちょっとでも気になったらNetflixで観ればいいんじゃないすかね。とりあえずS.A.C.だけ観るとかでもよいかもしれないすね。
話は変わりますが、前回の記事(ゴールデン暇 - 仮説トイレ)を多くの技術屋の友人に見られて「数字の全角半角を統一しろクソボケが」という厳しいご指摘を多数頂きました。大変申し訳ありません……全てはSurfaceにテンキーがついていないのが原因であって俺のせいではないです……。そもそも趣味で書いてるもんなんだからええやんけ仕事ではそんなことせんわ。と言いつつ今回はだいぶ意識したので、校正のほどよろしくお願いいたします。さいなら。