100の質問
23. 何フェチ?
A. 歩き方
休日2日間の約3分の2を布団で過ごしていた床下が一体何をしていたかというと、この質問に対する答えを探していた。
単に用事が無かったとか寒くて家を出たく無かったとか巷では色々言われているが、そんなことは気にしない。
リラックスした状態が最も思考に適している事を床下は知っているし、そういうグータラな日常から突拍子も無く良い考えが浮かんでくるものだと思っているからだ。
外に出てせかせか動く人間は死ぬまで一生そうしていればいいのだ、床下は安楽椅子探偵を目指しているのだから。
とにかく床下はこの二日間、二畳にも満たない薄汚れた布団の上で転がりながら、床下のフェチを考えていた。
以前に一度記事で述べたが、フェチというのは要は「性的欲求を覚える何か」を指す。
調べてみるとそれは本当に人によって様々で、およそ人間が認識する全ての存在はフェチになり得るのでは無いかとさえ思える。
例えば、ベタではあるが「男性が車でバックする時のあの感じ」が好きな女性は多いだろう。
お手本のようなムービーを見つけたので一先ず見てもらおう。
安全装備 みんなの安全安心プロジェクト 「安全安心ドライビングスクール 俺様教官 篇」 ダイハツ公式 - YouTube
いやぁ、これは完璧すぎないだろうか。
乗ってるのは軽なのにこの完璧さ、これがシボレーのカマロだったら女性側は心肺停止ものだ。
それにしてもこの女は運転が下手すぎないか?
免許は諦めるべきだな。
ただ残念ながら教習所の教官に高橋一生はいないし
ほぼ間違いなく全員タバコを吸っているし
ハンドルは10時と2時の方向で握れと注意するくせに自分が運転するときは0時のみで握っている
床下の通った教習所の教官には、そこそこのイケメンでそれを駆使して担当の女子大生を何人も獲物にした事を自慢げに語っていた奴や、卒業試験時の床下の完璧な運転に何とかイチャモンをつけようと「乗り心地が悪かった」というめちゃくちゃアバウトな感想だけを述べて去っていった奴もいた。
だから世の女性はこの動画を見て安直に教習所に行くべきでは無い、あすこには貧困や社会の闇が転がりまくっている。
話を戻そう。
とにかくフェチというのは多種多様だ。
上記のようなベタなフェチもあれば、腋やつむじフェチという少し特殊なものもある、匂いで言うなら排水溝フェチというイカれた人間もいるし、もっと言えば殺人フェチという非道徳なものもあるのが現実だ。
フェチというのは言わば本能が感じ取るものであって、大半の人間が何フェチかと問われれば答えられるようなものである。
だが、布団にこもって四六時中考えていても床下は中々自分のフェチを定めることができなかった。
何故か。
人より少しばかり、性欲が足りてないからだ。
いかにも中学二年生の男子が言いそうなセリフではあるが、残念ながら半ば本気で言っている。
というのも、幼い頃の床下には持病があった。
いつかの記事で書いたかもしれないが、背が伸びない病気だ。
正確には成長ホルモン分泌不全性低身長症という病名なのだが、要は成長ホルモンが無い故に身長が伸びない病気だ。
サッカー選手のリオネル・メッシと同じ病気である(これだけが自慢)。
しかし床下の母は観察眼が鋭く、物心ついた頃から治療を始めた(毎日お腹に治療薬を注射するだけ)おかげで、今では周りの同性より少し低いぐらいの身長になった。
これが「性欲が足りていない」ことと関連付いたのは中学生の頃。
学校の授業で習うことだが、中学生くらいの年頃になると第二次性徴というものが現れる。
これには女性なら女性ホルモン、男性なら男性ホルモンが重要な役割を果たしていて、要は女性は女性らしく、男性は男性らしく心と体が成長していく。
床下はこの第二次性徴に現れるホルモンを抑制しなければいけなかった。
詳しい仕組みは分からないからアバウトに書いていくと、男性ホルモンや女性ホルモンは成長ホルモンにとっては邪魔でしかなく、これらが増えるにつれて成長ホルモンは体内から消えていく(だから殆どの人間が10代で伸長が止まる)からだ。
だから床下は中学生の頃から性ホルモンの分泌を抑制する注射も併せて打っていた。
その時の床下の性ホルモン値は、正確な値までは記憶していないが常人の100分の1とかだった。
そうなると、異性に対する関心は薄くなるし、高3まで声域はアルトだし、中性的な性格だとよく言われていたし、毎日部活をやっていても筋肉は中々つかなかった。
Base Ball Bearにハマったのは高校の頃だったが、その時は「抱きしめたい」Base Ball Bear - 抱きしめたい - YouTubeという曲の歌詞の意味があまり理解できなかった。
春風の中、君は花のようだ
広がる髪もスカートも 抱きしめたい
くちびるを湿らせるくらいのことが
この胸締めつけるよ 抱きしめたい
今は治療も完了し、通常通り性ホルモンが分泌されているはずなのだが、どうにも性欲というものが足りないように感じている。
果たしてそれは薬の作用が未だ効いているのか、はたまた他人に比べてそういうことを感じてきた期間が短いからなのかは分からない。
とにかく床下にとって思春期は現在進行系であり、性欲とは何なのかを考える日々が続いている。
だがいくら考えたところで、本能を理解するのは無理がある。
布団の中で黙々と思案を巡らせても答えなど出てこない。
答えというアウトプットを出すにはまずインプットだ、そう思い立った床下は「我々はこの謎を解明するべくアマゾンの奥地に向かった」というナレーションでお馴染みの藤岡弘、探検隊よろしく休日2日間の10分の1くらいを利用してある場所に向かった。
イオンのフードコートだ。
イオンのフードコートは正に人種のるつぼ、日本におけるマイアミと言っても違わぬほど老若男女多くの人間が存在する場所だ。
床下はここでケンタッキーフライドチキンをつまみに多くの人間を見ることで、自らのフェチを定めようと考えた。
床下が人を見る時、一体どこを見ているのか、そして見た結果どういう人間を"良い"と感じるのかを観察することとした。
それによって打ち出された答えは上に書いた通り、歩き方だった。
床下は人を見る時、まず歩き方を見ていることに気付いた。
自信がなさそうにチビチビと歩く女性
姿勢良く綺麗な歩き方をする細身の男性
大股でゆっくりと歩く大柄な男性
まるでアイススケートをするような歩き方で非常にエネルギー効率の悪いプロレスラーのような男性
急いでもないのにヒールをカツカツと鳴らして足早に歩く女性
顔は整ってるのにこち亀の両さん顔負けのガニ股で歩く男性および女性
とにかく歩き方はフェチと同じくらい様々で、何よりその人の性格を表しているように見えた。
そして何となくではあるが、"良い"歩き方をしている人に対して「ん、エロいな」と思う気持ちが床下の中にあったように感じた。
どのような歩き方を"良い"と感じたかというところは本能の部分なので、文章に起こすのは難しいが。
思えば今まで交際した異性の方々は皆歩き方が綺麗だった(床下の思う綺麗)ように感じる。
こうして床下の謎がまた一つ解明されたのだった……。
ちなみに床下は服装によって歩き方が変わる。
ダボついた服を着ていれば猫背でダラダラした歩き方になり、細身のパンツにシャツとジャケットのようなオフィスカジュアルだと静かにスタスタと歩く。
メーンの皆、貴様らも相見えた暁には歩き方をじっくり見てやろう、覚悟しておけよ……。
ところで薄々気付いた人もいるかも知れませんがこの記事で一番言いたいのは
「イオンのフードコートは最高」
これです
あそこまで落ち着いて何時間でもいられる空間は他に無いんじゃないか?
ダラダラ過ごしているだけであっという間に二時間も溶かしてしまった。
JEVAというHIPHOPアーティストが最近UPした「イオン」[PV] JEVA - イオン - YouTubeという曲のMVがそれを物語っているので是非チェックしてくれ。
床下はああいう片田舎の商業地区のドープな感じが大好物なので、お好きな方は是非観光しましょう。
イオンのフードコート観光、深夜のすき家観光、田園風景に隣り合って煌々と光る深夜の自販機観光、田舎道に急に現れる奇抜な形のラブホテル観光。
あぁ、どっちかというとこっちのがフェチかも……。